シン・エヴァンゲリオン 劇場版 (MOVIE)




もちろん全ての理解はできないけれど、それでもストーリーをしっかりと見せながら今まで積み重ねてきた伏線回収もキチンと行われていましたし、綾波の使い方などファンへのサービスと言いますか、そういった描写もキチンと描かれていて、物語としても結末を見事にちゃんと終結させていました。

映像に関しても「EVAは映像がカッコよくて当たり前」という先入観があるので期待値のハードル高めでしたが、それでも映像表現でも期待値を余裕で超えてくる程素晴らしくカッコいい物でした。



遡ればTV版オリジナルの魅力としては、ロボットアニメに見せかけて実は思春期の少年の人間ドラマであったということがベースに挙げられると思うのですが(実際にEVAは人間そのものであり、例えばロボットなのに戦いで腕が千切れて血が出血したり内臓が出てきたりもする)、

そこに謎が謎を呼ぶ展開、過度の情報量、カッコいい映像。それらは同じく90年代にリンチが作り上げて世界中で大論争を巻き起こしていた「ツイン・ピークス」に相通ずる魅力的な物があると感じていました。(実際に庵野秀明はデヴィッド・リンチの崇拝者であると答えています)


それに比較してリビルド版の新劇場版4部作はもっと根本的にストーリーにフォーカスした作風だったと思います。即ちそれは人類保管計画を中心とした宗教的な物だったり死生感だったりするのですが、今作ではその流れの落としどころに関しても非常に素晴らしかったと思います。




旧劇場版やTVシリーズなど過去作品アーカイブスへのオマージュも散見されました。

25年間、それぞれの人にとってのそれぞれの思い出のシーンと必ずどこかで交差するように作られていて、25年間リアルタイムで共に歳を重ねて歩んできたファンは必ず楽しめる作品だったのではないかと感じます。

良いシーンも沢山ありました。上のADでも使用されていますけど、マリの鼻歌に乗せて真っ赤に染まったパリのエッフェル塔を真下から覗くカメラショットで始まるオープニングシーンの演出、セカンドインパクトの爆心地である南極に向かいアスカとマリが最後のEVAに乗り戦うシーンのカット割りや音響効果。

映画館の音響で聴く宇多田ヒカルのEDも素晴らしかったです。


パンフレットも買って読みましたが、沢山の協力者を得て、初期のプリプロダクションスタートから11年もの製作期間を費やし、膨大な制作費を注ぎ込んで完成させた作品だそうです。 

監督は勿論、製作に携わった全ての方々にとっても非常に思い入れの大きな作品になったと思います。今まで本当にお疲れ様でした。そしてありがとう。