FridayBlack (BOOKS)


アフリカ系アメリカ人として破格の注目を集め、一躍アメリカ文学界の最前線に立つ一人となったナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤーによる鮮烈なデビュー作品。

Black Lives Matter以降、少ないながらも自分が読んだり見たりしてきた黒人差別問題を扱った作品の中でも随一の出来であったし、デストピアSFであったりバイオレンス要素を豊富に盛り込んだヘヴィな内容でありながらも、その軽妙洒脱でリズミカルな文体はまさにHIP HOPを聴いているかのようであった。良い小説にはフロウとリリシズムがある。

実際に本作品の冒頭1ページ目は”Anything you Imagine you posses.”(心に描く物は全て君のもの)といったケンドリック・ラマーのフロウの引用から幕を開ける。そして最終話は閃光で幕を閉じる。今このタイミングで読むべき本なのは間違いない1冊であった。

ジェイソン・レナルズであったりコルソン ホワイトヘッドであったり、今はアフリカ系アメリカ人が熱いのかもしれない。BLM以降に執筆された作品は特に。周辺の作品も読んでいこうと思う。