THE CREMASTER CYCLE上映会 at 写真美術館(ART/MOVIE)
実際に観るのは2002年の上映ぶりだから、私としても実に20年ぶりの再会。若くて尖っていたあの頃と、今。観た感想がどう変わっているのか知りたい意味も込めて、行ってきた。
チケットは前売り完売、東京写真美術館のホールは超満員。
マシューと言えば当時から現代美術界では説明不要の大スターですが、クレマスターは作家が世界で極端に上映を制限している作品なので観れる機会に行っておかないと、次はいつになるのかわからない。
全編で10時間程度の超長編作品なので、鑑賞する側の体力面は勿論、精神的な強さも問われる作品。私はリラックスして観る為にFILM STOREのLOOKSEAのシルクパンツを履き、腰痛対策に小型クッションまで持参で万全のコンディションで行ってきた。
(ロビーでの展示)
マシューは1993年、性の曖昧さをテーマとした長編映画シリーズ「Cremaster」を構想。 クレマスターは、睾丸につながる腱を包み温度によって伸縮する、卵巣と陰嚢のあいだにある筋肉を指す医学用語。 そこにあるのは、マシュー・バーニーが医学界出身の芸術家であることも要因しているのかもしれない。
今作品の主演は、作家のマシュー自身だ。自らの身体を多用し、性や生き物といった概念を越えて変容させながら幻想的なストーリーが進んでいく。
現代アートの見方は自由で良いと思うし、むしろ何も考えないで自分にとって好きか嫌いか、カッコいいかカッコ悪いかだけで判断すればいいとすら思っている。
鑑賞する側にとってはその作品の作家の思想とか哲学など、案外関係ない話だったりもする。クレマスターは初めて観た19歳の頃、その体験は内容は全く理解できなかったけれどもそのカッコよさにとてつもない衝撃を受けて私の感性に大きな影響を与えることになった。
今回の最新の7.1ch爆音上映会は音質・画質とも以前より格段に向上していて、私の眠っていた感性を目覚めさせるには充分すぎる程の刺激であった。
「クレマスター」は一応「映画」というカテゴリーに属してはいるが、これは映画ではない。まず映像と音楽としてのクオリティが、あらゆる映画の非ではない程の高みに到達している。特に「アート作品」といった分野で語れば猶更だ。
ファッション、ヘアメイク、インテリア、舞台美術、その全てが素晴らしいので、何か物作りをする人間は見ておいて損はないだろう。
特にグッケンハイム美術館を舞台にした3のクライマックスは必見である。
次の上映は、9月3日。これを逃すと次の日本での上映の機会はないかもしれない。
コロナで上映が延期になっていた新作の「リダウト」と合せて気になる方は観に行ってみてはいかがだろうか。