THIS TRAIN by Justine Kurland (ART)
FILM STOREで海外の作家を中心とした作品集を取り扱っている。
「売れる・売れない」は考えずに、このロケーションにあるストアで買い物する体験にシンクロさせる為に広い意味での「自然」をテーマにした作品を作る作家を私が選書している。
「売れる・売れない」で言うと、三重県で1万円以上する洋書をバンバン売ろうと思うと、これは絶対に無理だ。(東京でさえ今は難しい)
ただ一応今まで数十冊入荷してきたけど殆ど全部売り切れている。ただし90%以上はオンラインで。全国には実際に紙の作品集を購入したい層は令和時代にもちゃんと一定数存在しているのだ。
そんな中、実店舗での販売で異例とも言えるヒットを飛ばした作品集が1冊だけある。
昨年末の冬に入荷した"THE END SENDS ADVANCE WARNING by Todd Hido"だ。
初回入荷分の数冊が直ぐに完売してしまい、版元から再販があると言うので何度か再入荷するけどその度に完売している。
冬の外の寒い空気感と、物悲しい冬の庭の雰囲気が見事にTodd Hideの作品にシンクロすることによっての売り上げだと思っている。
版元からも「貴店でご好評いただいたことは、納得と同時にとても嬉しく存じます。」と言っていただき、「売り場と商品の相性」をあらためて感じた体験であった。
そんな中、先日新しく入荷した作品集が素晴らしすぎた。掛け値なしに。
何というか、趣味で写真集を収集し続けて20年。今はブックバイヤーもしている私の感度として、わかるのだ。「今年にこれ以上の作品は出会わない」と。
映画もそうだ。ブログに書いた「パーフェクトデイズ」は、今年初頭の作品だったけど、これを超える作品は今年生まれることはないと確信している。まあ、全て主観ですけど、共感してくれる感度の方も結構いるとは思う。
ジャスティン・カーランド(Justine Kurland)というアメリカ人フォトグラファーの作品集。
写真家は幼い息子を連れてアメリカ横断の旅に出る。
衣服、食料、おもちゃを一台の車に運び込み、広大な大陸を駆け抜ける。
両面に開くカバーを開けると本体の装丁は蛇腹仕様。
表には2人の旅の様子を、裏目には本作のもう一つのテーマであるアメリカの開拓の象徴、「鉄道」が広大な美しい大自然と共に行く先々で収められている。
平野や山間部を走る鉄道を辿ることでアメリカの歴史を振り返って行くといった社会的なテーマと旅と物語が融合した傑作。
蛇腹製本の造本と写真自体の内容が、見事にシンクロした見応えのある1冊に仕上がっています。
作家のオリジナルプリントが付属しているので本としては少々高いですけど(それでも2万円代の安さ!)、とにかく最高なんです。
本書はもちろん作家の息子に捧げられています。
こんな素敵な作品を紹介できて私は嬉しい。ショップで見れますので、よかったら是非。
私も海外でこんな旅がしてみたい。
【サイン&手刷りプリント付き】THIS TRAIN by Justine Kurland ジャスティン・カーランド 写真集