セクションドール(京都)(EAT)
先日、京都で京セラ美術館「村上隆展」、 京都国立近代美術館で「倉俣史朗展」を鑑賞したあと(特に倉俣史朗展は素晴らしかったです!)、徒歩10分程度のこちらへランチに。
飲食店経営者として見ても、とても感銘を受けるランチ体験だったので、記録として書いておきます。
とても狭くて店内の撮影できなかったので、言葉になりますが以下感想。
まず、予約して入店します。店内はとても狭く、2人用の小さなテーブルが3つだけ。
つまり3人〜6人の来店で満席になる大きさです。
席に案内されると、小さな音量で流れているクラシック音楽が心地よくてカジュアルながら厳格な空気感を作り出しています。
壁にはアルチン・ボルトの絵画が飾ってありセンスが良い。
その後、寡黙な店主がテーブルにいらして、「MENUでございます」と言いながら、スマホくらいの大きさの小さな可愛い木箱を一つ、テーブルに置いて、キッチンへ去っていきました。
私は「ん?」と思いました。
と言うのも、このお店、MENUが「タンドリーチキン」一つしかないんです。当然お客様は全員それを知って来店します。
オーダーは、既に電話で何人分必要か伝えてありましたし、お店で口頭で確認すれば、それで済むはずなんです。
なのに、MENUだと言う可愛らしい木箱が登場。
その木箱の蓋を開けてみると、中には
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タンドリーチキン¥2,700
とだけ、書いてありました。笑
そして私は再び、手を挙げて厨房のシェフを呼び、「タンドリーチキン3人分」と、あらためて伝えたのでした。笑
これはどういうことかと言うと、1種類しか商品がなくて頼む物が決まっていたとしても「MENUを見てオーダーをする」と言うレストランの一連の美学を失いたくないといった店主のこだわりなんですよね。
そしてもう一つ、このお店の店主、動きがとてもスマートで美しい。そして寡黙。素晴らしい。
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「記憶に残る食事」「記憶に残るレストラン」って、私の経験上、味は全く関係ないんですよね。
例えば上高地なんかに旅行に行って、沢山歩いて疲れてお腹空いてから行く山間部の景色の良いカフェで飲む何てことないビールやサンドイッチとかって、もう最高に美味しいし記憶に一生残るし、「また行きたい!」ってなります。
ラーメン屋の「一蘭」があれだけ売れているのは味ではなくあの飲食システムが要因です。
などなど、飲食店は、「体験」なんだなとあらためて。
マーケティングの意味においても、やっぱりこういった特徴があるお店は強いし必ず生き残ります。例え味に特色が無かったとしても。
(内緒ですけど、15年前に点と線をスタートした当初も、自分が若くて技術が未熟なのを自覚してましたので、技術ではなく打ち出すイメージと体験のマーケティングに全振りして、結果波に乗ることができました。特色って、とても大事です。)
で、到着。
チキンは上品なスパイス使いと抜群の焼き加減。
そして周りを囲むグリルド野菜も絶品。むしろチキンより野菜が美味しい。
パンは古代小麦を使用しているのでグルテンフリーなのも嬉しいです。
やっぱり京都、面白いし良いお店多いな。
ちなみにこちらのお店、ミセスリンダのフライドチキンと言うフライドチキン専門店を監修して、2号店として同じ京都市内に出店されています。
こちらも別日に行ってきました。
こちらはMENUは1種類ではなくて、沢山ありました。笑
私はスペシャリテだと言う、柴漬けのタルタルが入ったバーガーをチョイス。
美味しかったですけど、驚きはなく。
私は圧倒的にセクションドールの方が好きかな。
皆さまも京都へ行った際はぜひ。