「TOKYO STYLE」と、都築さんとの思い出

私と都築さんとの思い出は色々ある。写真集も著書も殆ど持っているけれど、特に好きなのは今回紹介するTOKYO STYLEと、もう絶盤になっている写真集「着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS」だ。これには私が若い頃に随分救われた。


都築さんとは、初めて書くけど実は彼の展覧会の時に少し仕事を協力させていただいたこともある。

福岡にあった現代美術のアートギャラリー「三菱地所アルティアム」で2016年に行われた都築さんの展覧会「都築響一僕的九州遺産」で、私がコレクションしている今は無き、佐賀県にあった嬉野武雄観光秘宝館で展示されていた伝説的な裸体女体オブジェの数々を展示に使っていただいたのだ。


(嬉野武雄観光秘宝館で展示されていた女体オブジェ。ハイエースをレンタルして佐賀県までフェリーに乗り取りに行ったのは若かりし頃の良い思い出。この時の珍道中や写真も超面白いのでいつか記事で書きますw)


そしてヤマト運輸さんには美術館などで使用する美術品を梱包輸送する特殊チームが存在していて、展覧会の際には当時の私の自宅まで来ていただいたのも貴重な思い出です。


そんな都築さんの名著中の名著であり、海外でもカルト的人気を誇り続けるコレクターズ・アイテムの象徴『Tokyo Style』が、初版の刊行から何と30年以上の時を経てハードカバーの新版として蘇ったには驚きと共に本当に嬉しいお知らせだった。

版元は、何とスペインの世界的に有名なインテリア雑誌"Apartomento"から(!)

プレスリリース後、私が直ぐに仕入れる為に動いたのは言うまでもありません。


この写真集は不朽の名作であり、本当の意味で人が住まう東京の住居を、ごく親密な距離からありのままに写し出しています。

当時の雑誌に載る華麗なインテリア特集への強烈なカウンターパンチであったのは言うまでもありませんし、これこそがバブル崩壊後の東京のリアルな若者にとっての本当の意味でのリアルな「居心地の良い」暮らしだった。


「やむをえず、初めて大判カメラを購入した。車は持っていなかったので、原付の足元に機材を載せ、2年以上もの間東京を走り回った。それが私の写真家としての原点だった。初版から30年余りの時が過ぎた今、Apartomentoから『Tokyo Style』の新版が出るというのは、小さな奇跡のように感じられる」
― 都築響一




FILM STOREのECサイトでの販売用・私物のコレクターズ用に数冊入手。全て都築さんのサイン入りです。

















本書には新たに書き下ろしたあとがきが添えられているのですが、それが本当にグッときた。

数年ぶりにこの大判のハードカバーであらためてアイコニックな数々な写真を見させていただき、あらためて都築さんの視点は忘れてはならないなと感じた。

例え、あの頃と比べて生活が金銭的に豊かになっていても。

都築先生、これからもずっと大好きです。


都築響一「TOKYO STYLE」