Best ALBUM of 2020 / 5位~1位(MUSIC)



続きまして上位5作品の発表です。



5位  Control / NATALIE SLADE





 

 オーストラリアのR&BシーンはHiatus Kaiyoteを筆頭に独自のシーンを形成していて、やっぱりこの国のサウンドはカッコイイ!と再認識したオーストラリアの女性アーティストのデビュー盤にして名盤。

サウンドは非常に先鋭的なR&Bで、エレクトロが少々入った生バンドによるヒップホップ・ソウルの最新型。近年R&Bの本場はアメリカではなく 完全に世界分散型になっていると感じます。







4位   Satin Doll  /  Sam Gendel







先月の今週の1曲でも紹介したL.Aの天才Sam Gendelのもう一つの2020年発表作品。
この人、元はガチガチのJAZZのサックス奏者だったのですが、どんどん広い意味でクリエイティブな方向に傾倒していき今では従来のサックスの用法は完全に捨てたと言える独自のプレイを行う唯一無二のアーティストになっていて面白いです。
今作品はJAZZファンなら誰もが知る古いスタンダードなナンバーを未来的オマージュで脱構築。サックスに様々なエレクトロニクスが交じり合うこの斬新なJAZZ作品の数々を、何とスタジオで即興でのLIVE録音を行い完成させたのだから、その才能には感服してしまいます。ちなみにこのMVは今作品の映像の視覚的要素は東京が合うと思ったそうで、Sam Gendel自身の監督による東京ロケで作られています。
今作品の手法である古いものを新しくカスタマイズする行為を、同じく古い車を新しくカスタマイズしたローライダーを使って懐かしい8mm映像と共に表現しています。









3位 We Will Always Love You  / Avalanches






 
 アヴァランチーズがまさかの3rdアルバム発売!は、昨年の嬉しいニュースでした。
何せ、前作はリリースするまで16年かかりましたから。今回は早くて良かったです。笑
鬼のようなサンプリングは今回も健在で、さらに総勢26組がゲスト参加の豪華盤。
ディスコ/ファンク/ゴスペル/ハウス/HIP HOP/DUBなど多種多様な全25曲を70分の短さにまとめた玉手箱。音の洪水による祝祭感が素晴らしく、時代の閉塞感も相まってよく聞きました。








2位  PROSPERA  /  TASSIA REIS







 

先のNATALIE SLADEでも書いた通り、今、世界のR&Bシーンでは特色のある作品が次々と登場しています。(これはHIP HOPも同様です)今作品は非常に良質なブラジル産R&B。最新のグライムやトラップ系のアッパーな楽曲から、ローリン・ヒルやエリカ・バドゥ直系のメロウな90年代風ネオソウル、ジャズ・サンバまでも飲み込んだチル系トラックも秀逸。特にアルバム後半のメロウな展開が好き。2020年MPBの大名盤。
サブスク時代になり、こうやって主要国以外の良質な音楽にも出会いやすく、またアーティスト側としても世界に届けやすくなった現代は本当に良い時代になったなと感じます。








1位 Spilligion / Spillage Village










アトランタのHIP HOPクルーSpillage Villageの最新作。メンバーにラッパーとシンガーが混在しており、生バンド中心によるファンク、ソウル、 ゴスペルなどからインスパイアされた自由自在なサウンド作りで既存HIP HOPミュージックを軽やかに逸脱した野心作。
ラッパー陣のフリーキーかつキレのあるフロー、シンガー陣のストリート感溢れるソウルフルな歌声も大変魅力的な2020年の大名盤。
音楽で世界が変わるなんてありえないので現実社会を反映した音楽はあまり好きではないけれど、HIP HOPに限って言えば話は別である。混沌とした世界にメッセージを届けるといった意味でも彼らの作品を2020年の第1位に選出した。コロナ禍でリモート収録で行われたTiny Diskコンサートでのパフォーマンスも素晴らしかったです。